「1ヶ月後に立て直しの工事をするから出て行ってくれって言われているんですけど、応じないといけないんでしょうか。」と急に入った相談で聞かれた。
聞くと、1軒長屋で、4~5件が借家として住んでいたが、最後に残ってしまった様子。立退き自体は数ヶ月前から言われていたようで、「古くなったから」「(他の住人は同じ家主所有の)他の家に移ってもらった」と連日出ていくように迫られていた。
立退料の提示は無し。既に移った人からは「立退料なんて求められなかった」らしい。相談者にも別の物件を用意しているから、といわれていたようだ。家主からは、今と同じ条件でいいとは言われたものの、聞けば、現在住んでいる建物よりも古くて、狭い。とすると、条件が悪くなる。
この点、家主側は、今の建物よりも新しくて、広いと言っていたので、言い分は全く食い違っている。話がこじれてしまっているので、移るとしてもその家主との間で賃貸借契約は結びたくないという希望もあった。
そこで、家主と交渉を始めた。
最初は、「立退料なんか何で払わないといけないんだ」「引っ越し費用くらいなら考える」というレベルであった。ただ、解体工事等の予定はどうも入っているような感じで、焦っているような雰囲気はあった。
何度か話をする中で、バブルの頃とは比較にならない金額ではあるが、依頼者の希望額を超える水準にまでは来たので、「法的手続き」を利用することなく、訴訟外で示談が成立するに至った。
その後、引越も無事完了し、家主とのいざこざからも解放されたとのことであった。
相談から、実際引越をするまで1ヶ月とかからなかった。ご本人の希望にもよりけりであるが、家主も一個人で(業者ではない)早期に解決できたことは、どちらにとっても良かったものと思われる。
2011年6月7日 弁護士 岡根竜介